マネーな話

リストラされて家賃が払えない、通院中でなかなか仕事が見つからない、親の介護で貯金が底をついてしまったといった事情で経済的に苦しいと感じていませんか。

でも生活保護は最後の砦、できるだけ自分で生活を立て直したいとお考えの方は国の手厚い生活支援を受けることができます。

制度によっては世帯の収入や資産について詳しく報告する必要があるため恥ずかしいと感じてしまう方もいるようです。

しかし、聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥!サラ金や闇金に手を出す前に自治体窓口の無料相談に行きましょう。

ここでは窓口へ行く前に知っておきたい支援制度の内容や手続きに必要なものについてご案内します。

 

この記事でわかること

生活困窮者支援制度は生活全般の相談ができる!

経済的に困っている時や仕事に就くのが難しい時、住む所がなくなりそうになった時に利用したい制度です。
お住まいの市区町村の自立支援センターや福祉科などで無料相談ができます。

生活困窮者支援制度で相談できる内容は主に6つ。
これからご案内する「①住居確保給付金」と「②自立相談支援事業制度」の2つは必須事業なのでどこの自治体でも必ず行っています。

「③就労準備支援事業制度」「④就労訓練事業制度」「⑤一時生活支援事業制度」「⑥家計相談支援事業制度」「⑦生活困窮世帯の子どもの学習支援制度」とは任意事業なので自治体の判断によって行われています。

 

①住居確保給付金とは

住居確保給付金は離職や失業で住宅を失った方や失う恐れがある方に、原則3ヶ月間家賃相当額が支給される制度です。

自治体によって詳細は異なりますが、ハローワークで職業相談をしたり求人先へ応募して面接を受けたりするという「働く意欲」がある事が大前提となっています。
ハローワークでの職業相談や支援員との面接を受けないと「働く意欲」が無いと判断されて支給が中止されることがあります。

ここでは東京都世田谷区を参考に住居確保給付金の受給条件、支給額、手続きについてご案内します。
他の自治体でも概ねこのような条件となっていますが、比較的家賃が安い地域は上限家賃額が少なくなることがあります。詳細につきましてはお住まいの自治体にお問い合わせください。

 

住居確保給付金の受給条件

  • 住居喪失または住居喪失のおそれがある
  • 離職等の日から2年以内の65歳未満
  • 離職等の日に世帯の生計を主に担っていた
  • 申請者と生計を一とする同居の親族が国の雇用施策による給付金(給付職業訓練受講給付金等)を受けていない
  • 収入基準額以下の収入であること
単身世帯 基準額84,000円 上限家賃額52,000円 収入基準額136,000円
2人世帯 基準額130,000円 上限家賃額62,000円 収入基準額192,000円
3人世帯 基準額172,000円 上限家賃額68,000円 収入基準額240,000円
4人世帯 基準額214,000円 上限家賃額68,000円 収入基準額282,000円

金融資産の合計額が次の金額以下であること

  • 単身世帯 504,000円
  • 2人世帯 780,000円
  • 3人世帯以上 1,000,000円

 

住居確保給付金の支給額と支給方法

月収を収入基準額としその月に支給される額が決まります。
家賃上限額には共益費や管理費は含まれません。

<例>3人世帯の給付金額
月収が基準額(172,000円)以下であれば68,000円を上限とした家賃額が支給されます。
月収が基準額(172,000円)を超える場合は【上限家賃額68,000円-(世帯の月収の合計-基準額)】が支給されます。
仮に3人の月収の合計が収入基準額以下の220,000円、家賃が65,000円だったとすると、【上限家賃額68,000円-(世帯の月収の合計220,000円-基準額172,000円)合計=20,000円】が支給される計算になります。家賃の差額45,000円は自己負担となります。

支給された給付金は自治体が直接不動産業者(大家さん)へ振り込みます。自己負担分は申請者が直接不動産業者へ支払う必要がありますのでご注意くださいね。

 

住居確保給付金の申請手続きの方法

  • 窓口で受け取ることができる申請書
  • 本人確認書類(運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)、パスポート、各種福祉手帳、健康保険証、住民票、戸籍謄本等の写し)
  • 離職後2年以内の者であることが確認できる書類の写し(離職票等)
  • 申請者及び申請者と同一生計者の収入が確認できる書類の写し(給与明細書、預貯金通帳の収入の振込の記帳ページ)
  • 申請者及び申請者と同一生計者の金融機関の全通帳の写し
  • ハローワークの発行する「求職受付票(ハローワークカード)」の写し

以上の書類を用意します。
自治体によっては賃貸契約書が必要になることがあります。

 

②自立相談支援事業制度とは

自立相談支援事業制度は様々な事情で仕事に就くことが難しいと感じている方をサポートする制度です。

このままでは生活保護を受けざるを得ないという方が主な対象となっています。
生活保護を受給している方は対象外ですので担当のケースワーカーにご相談ください。

  • ニート、引きこもり、家庭内暴力の子どもを自立させたい
  • コミュニケーションが苦手(コミュ障)で仕事が長続きしない
  • 親の介護と仕事の両立に限界を感じている
  • ずっと働いていなかったからどんな仕事に就けるか不安だ

年齢やこれまでの職歴を問わずこういった悩みを相談することができます。

相談支援員がハローワークや介護福祉課等と連携して支援プランを作成してくれます。
支援プラン作成後は自立が上手くいくようにサポートしてくれますし、問題があればいつでも相談することができます。

自立相談支援事業制度は必須事業なのでお住まいの自治体に必ず窓口が設置されています。
ご自分のことはもちろん、ご家族の経済的な自立を促したいけれどどうすれば良いのか分からないとお悩みの方は一度足を運んでみてくださいね。

いつまでも悩んでいるよりもずっと心が軽くなりますよ。

 

③就労準備支援事業制度とは

就労準備支援事業制度は働きたいけれど、まだ心も体も仕事に就く準備ができていないと感じている方をサポートする制度です。

  • 65歳未満
  • 申請月の世帯収入額が定められた基準額以下(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12+住宅扶助基準)
  • 世帯の預貯金が基準の6倍以下、上限額なし

という条件がありますが、自治体の判断によって支援が必要と認められた場合は制度を利用することができるケースもあります。

  • ニート歴が長くて昼夜逆転の生活リズムから抜け出せない
  • 以前の職場でいじめに遭って働く自信を失くしてしまった

このような悩みや不安がある方を対象に、セミナーやカウンセリング、就労体験等を行い仕事に就く準備を進めていきます。

自治体よって内容は異なりますが、生活リズムを整える指導・訓練→協調性やコミュニケーション能力を向上させる指導・訓練→就労体験や面接訓練を受けて就労自立を目指すという流れになることが多いようです。

すでに生活リズムが整っている方はボランティア活動などを通じてコミュニケーション能力の向上を目指す訓練からはじめるケースもあります。

就労準備支援事業制度は、必須事業の住居確保給付金や自立相談支援事業制度と違い任意事業です。自治体によっては就労準備支援事業制度が制定されていないこともありますが、自治体独自の支援制度を利用できることもあるので一度問い合わせてみてくださいね。

問い合わせ先がわからない時は「世田谷区 生活困窮者支援制度」というようにお住まいの地域+生活困窮者支援制度というワードでパソコンやスマホから検索してみてください。

窓口の問い合わせ先電話番号や、窓口の所在地が見つけられますよ。

④就労訓練事業制度とは

就労準備支援事業制度と似ていますが、この就労訓練事業制度の対象になるのは一般的な職に就くことが難しいと感じている方が対象になっています。

  • 病気治療中で長時間の労働が困難だ
  • 精神的に毎日の外出に苦痛を感じる

働く意欲があってもこういった理由で長時間働くことができない方は窓口で相談してみてください。
外出が難しいという場合は電話やメールで相談できる自治体もあります。

自立相談支援事業制度は生活保護を受けている方は対象外ですが、就労訓練事業制度は生活保護を受けている方も対象になります。

就労訓練は自治体の認定を受けた福祉施設や一般企業などで行われ、雇用型と非雇用型の2つの種類があります。

  • 雇用型
    比較的作業内容が軽く日数・時間が少ない
  •  

  • 非雇用型
    本人の意思で作業量を決めた就労体験

どちらも支援を受けがながらステッップアップを目指していきます。必要に応じて働く上で必要な身だしなみやマナーについても学ぶことができますよ。

⑤一時生活支援事業制度とは

ホームレスやネットカフェ難民などを対象に一定期間の宿泊場所や食事などが提供される制度です。
家賃を滞納してアパートを追い出されてしまった方、家族と折り合いが悪くて帰るところがない方などが対象です。

  • 申請月の世帯収入額が定められた基準額以下(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12+住宅扶助基準)
  • 世帯の預貯金が基準の6倍以下、100万円を超えない額

厚生労働省は「一時生活支援事業は自治体の長が緊急性を勘案し必要と認める者も利用できる」と自治体に一定の裁量を認めています。
もし今DV夫から逃げてネットカフェで寝泊りをしているというような切羽詰った状況にあるのならすぐに自治体に相談してください。

支援を受けられるのは原則3ヶ月間ですが、都道府県が認めた場合は6ヶ月を超えない範囲で延長可能になるケースがあります。

具体的にどのような宿泊場所や食事が提供されるかは自治体によって様々。借り上げアパート、NPO支援団体の施設、旅館やホテルの一時利用などがあるようです。

 

⑥家計相談支援事業制度とは

お金の使い方や収支バランスの見直して生活を立て直すことを目的とした制度です。

  • 借金の返済が追いつかず税金や年金を滞納している
  • 何枚ものクレジットカードで自転車操業をしている

このような悩みを抱えている方が対象です。

家計表・出納管理等の作成支援、家賃や公共料金滞納の解消に向けた支援、多重債務者相談窓口と連携した債務整理支援などを受けることができます。

民間ファイナンシャルプランナーの家計相談との大きな違いは、自治体の貸付制度や就労訓練を紹介してもらえる点です。
目標通りに家計管理ができているか支援終了後も相談できるため、再び困窮状態になることを予防できます。

家計相談支援事業制度は生活困窮者支援制度の一環として行われていますが任意事業のため自治体によっては制定されていないことがあります。

もし借金にお悩みの場合は消費生活センターの債務相談窓口(http://www.kokusen.go.jp/map_tajuusaimu/)で専門家に相談する方法があります。

 

⑦生活困窮世帯の子どもの学習支援制度とは

経済的に厳しい家庭の子どもの学習支援や居場所作りを目的とした制度で、主に小学校高学年から中学生をサポートしています。

  • 生活保護を受給している世帯
  • 児童扶養手当を受給している世帯
  • 就学援助を受給している世帯

この他に両親が外国人で日本語があまり話せないというような理由から支援の対象と判断されることもあるようです。

支援が必要だと認められると無料塾で学校の勉強を復習したり受験に向けた勉強をしたりすることができます。
また、心理カウンセラーによる心のケアを行っている自治体もあります。

子どもの学習支援制度は残念ながら自治体によって制定されていないことがあります。
しかし、小学校や中学校のスクールカウンセラーや子育てセンターなどで相談すると、他の支援制度やNPO団体を紹介してもらえることがあります。

 

審査をパスすれば生活福祉資金貸付制度でお金を借りられる!

これまで紹介した生活困窮者支援制度はお金や仕事がなくて苦しい生活をしている方をサポートする制度でした。

これから紹介する生活福祉資金貸付制度は、生活や福祉サービスの利用のための資金を借りるという目的の違いがあります。

生活保護のように支給されるものではありませんから返済する必要があります。

  • 低所得者世帯 他から資金を借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)
  • 障害者世帯 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人が属する世帯
  • 高齢者世帯 65歳以上の高齢者が世帯

以上の世帯に当てはまる方が対象です。生活福祉資金貸付制度は「総合支援資金」「福祉資金」「教育支援資金」「不動産担保方生活資金」の4つに分けられます。

それぞれ借りられるお金の限度額が異なります。

 

総合支援資金

  • 生活支援費(生活再建までに必要な資金)の貸付限度額
    単身世帯は月15万円以内/2人世帯以上は月20万円以内
  •  

  • 住宅入居費(敷金・礼金など賃貸契約に必要な資金)の貸付限度額
    ⇒40万円以内
  •  

  • 一時生活再建費(滞納した公共料金などの立替など)の貸付限度額
    ⇒60万円以内

 

福祉資金

  • 福祉費(福祉用具の購入、障害者用自動車の購入など)の貸付限度額
    ⇒580万円
  •  

  • 緊急小口資金(緊急かつ一時的に必要なお金)の貸付限度額
    ⇒10万円以内

 

教育支援資金

  • 教育支援費(就学に必要な経費)の貸付限度額
    ⇒高校は月3,5万円/高専は月6万円/短大は月6万円/大学は月6,5万円
  •  

  • 就学支度費(高校、高専、大学の入学に必要な経費)の貸付限度額
    ⇒50万円以内

 

不動産担保方生活資金

  • 不動産担保型生活資金(低所得高齢者世帯の一定の居住用不動産が担保)の貸付限度額
    ⇒土地の評価額の70%程度/月30万円以内
  •  

  • 要保護世帯向け不動産担保型生活資金(要保護高齢者世帯の一定の居住用不動産が担保)の貸付限度額
    ⇒土地および建物の評価額の50~70%/生活扶助額の1.5倍以内

いずれも貸付を希望する場合は、最寄の社会福祉協議会か地域の民生委員・児童委員へ問い合わせてください。

お金を借りられるかどうかは審査の結果次第です。誰でも借りられる訳ではなく、返済できる見込みがあるかどうかが厳しくチェックされるようです。

 

無料低額診療制度は保険証がない時や現金がない時に頼りになる制度!


経済的な理由で医療が受けられない方を対象に無料または低額で受診できる制度です。

原則として一時的な措置で病気や怪我が回復できるという見込みがある場合に、各都道府県知事が認可した医療機関を受診することができます。

無料または低額になるのは自己負担金と入院食事代で、薬局や健康診断などの支払いには適用されません。
無料になるか低額になるかは医療機関が施設ごとに決めているため実際に問い合わせてみないと分かりません。

目安としては、1ヶ月の収入が生活保護基準の120%以下なら無料に140%以下なら低額になるようです。

源泉徴収票など所得状況を証明できる物を医療機関の窓口へ持参し手続きを行います。

 

経済的に苦しい時に使える国の制度のまとめ

経済的に生活が苦しい時に使える主な3つの制度「生活困窮者支援制度」「生活福祉資金貸付制度」「無料低額診療制度」を紹介しました。

  • 経済的に厳しいと感じていて、お金のことの他に仕事探しや子育てなども相談したい場合は「生活困窮者支援制度」
  • 返済の当てがあり、高齢者や障害者のための家のリフォーム代や子どもの入学費用を借りたい場合は「生活福祉資金貸付制度」
  • 一時的に失職していて現金や保険証が用意できないが病気や怪我の治療を受けたい場合は「無料低額診療制度」

リストラや両親の介護、自分自身の思いがけない病気で経済的ピンチに陥る可能性は誰にでもあるのではないでしょうか。

このような制度があることを知っておけば、万が一の時の支えになることでしょう。

もし今まさに経済的なピンチに追い込まれているという方はぜひ一度窓口へ問い合わせてくださいね。

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この記事を書いた人

さっぴー
さっぴー 多摩動物園のチーターが好きなアラフォー主婦。