2018年1月より休眠預金等活用法が施行されているのをご存知ですか?
取引のない口座の預貯金を預金保険機構が民間公益団体へ助成・出資して子供支援や地域活性化に役立てようという制度です。
実質的には、2009年1月1日以降、10年以上取引のない口座が対象になるため2019年1月1日から休眠預金に該当する預貯金が一気に増えることが想定されています。
数百円、数千円しか残高がないからと放っている預金口座はありませんか?住所変更手続きをしたのか覚えていない口座も休眠預金に該当する可能性もあるんです。
ここでは、休眠口預金等活用法の詳しい内容、どんな口座が休眠預金に該当するのか、もし自分の口座が休眠預金になった場合についてガイドしていきます!
この記事でわかること
休眠預金等活用法とは
2016年に制定され、2018年より施行されていますがまだ知名度は低く聞いたことがないという方も多いようですね。休眠預金等活用法は、10年以上取引がない休眠預金を子供や若者支援・地域活性化に活かす目的があります。
休眠預金は年間700億円以上あるといわれているんですよ。
休眠預金を有効に活用できれば今まで手が届かなかった民間公益団体などの活動をサポートすることができると期待が高まっています。
しかし一方では自分の口座の預貯金を勝手に使われるなんて!という声もあるようです。
休眠預金等活用法の詳しい内容を知っておけば、もし自分の口座が休眠預金に該当しても慌てずに済みますよ。
預金そのものは金融機関(銀行※外国銀行は除く、信用金庫、信用協同組合、労働金庫、商工組合中央金庫、農業協同組合、漁業協同組合、水産加工業協同組合、農林中央金庫)が管理しています。
しかし、休眠預金等に当てはまる預金については預金保険機構に管轄が変わります。
預金保険機構は、民間公益団体が必要とする担い手を育成する資金や活動に係る資金を休眠預金等から助成、貸付、出資を行います。
預金保険機構は大都市や特定の地域に資金が集中しないように配慮したり、民間団体の創意工夫が発揮できるように配慮したりする役割もあります。
また、休眠預金等に該当する預貯金者は、代替金(元本+利子相当額)の支払いを請求することができます。
もし自分の口座が休眠預金になってもしっかり請求できますのでまずはご安心くださいね。
今の段階では、金融機関(預金者)と休眠預金を活用したい民間公益団体の橋渡しになるのが預金保険機構ということを知っておいてください。
自分の口座が休眠預金になってしまった時の手続きは後ほど詳しくガイドします。
休眠預金等の「等」にはどんな意味があるの?
休眠預金等と聞くと預金の他に何が該当するのかが気になりますよね。
具体的にいうと普通預金の他、貯金、定期預金、定期積立、相互掛け金、金銭信託などが当てはまります。
ここでチェックしておきたいのが「預金」と「貯金」の違いです。
- 預金…銀行、信用金庫、信用組合などにお金を預けること
- 貯金…郵便局(ゆうちょ銀行)、農協、漁協などにお金を預けること
このような違いがあります。
つまり、休眠預金等の「等」には銀行や協同組合も含むし定期預金や定期積立も含みますよという意味があるのです。
一方で、休眠預金等の「等」に当てはまらない預貯金もあります。
外貨預金、譲渡性預貯金、2007年10月1日(郵政民営化)より前に郵便局に預けられた定額郵便貯金定期郵便貯金、積立郵便貯金(住宅積立、教育積立を含む)は対象外となります。
財形住宅や財形年金といった特定の目的のための預貯金、障がい者のためのマル優口座も対象外となっていますので早めに確認しておくと安心ですよ。
どんなケースが休眠預金の対象になるの?
10年以上入出金などの取引がない口座が休眠預金等の対象となるため、休眠預金等には預貯の金額に基準はありません。
残高が1万円以上ある場合は銀行から通知書が郵送されます。
これは通知書を発送した日を基準として10年は休眠預金になりませんよという案内です。
ただし、金融機関に住所変更の届出を提出していない場合は残高が1万円以上あっても通知が届かない(銀行に宛先不明で返送される)ため休眠預金として扱われることになります。
住所変更をしていない方は金融機関で手続きを行ってくださいね。金融機関によってはすでに通知ハガキが届いています。
インターネット手続きをしている場合はメール通知が届くこともありますが、通知のタイミングは金融機関によって異なります。
残高が1万円未満の場合、金融機関は通知書を発送しません。
数百円、数千円の残高しかないからと放置している口座があれば休眠預金となる可能性があります。
休眠預金等として扱われても良い場合を除き、何年も放っていたから残高がわからない方、数百円でも手元に戻したい方は一度金融機関の窓口に問い合わせをしましょう。
自分の銀行口座が休眠預金になるかもしれない時は?
預貯金者が預貯金を今後も利用する意思として認められる取引を「異動」といいます。
「異動」とひとくちにいってもその取引内容は様々で、各金融機関が行政庁から認可を受けている「異動」があれば休眠預金になることはありません。
少し混乱しやすいのが、行政庁から受けている認可(異動事由)は金融機関によって異なるという点です。
Aさんが取引している銀行は記帳をすれば休眠預金にならないけれど、Bさんが取引している銀行は記帳をしても休眠預金になってしまうということが生じます。
例えば…
- 入出金(利子の支払いを除く)
- 手形、小切手の提示等による第三者からの支払い請求
- 公告された預金等に対する情報提供の求め
以上は全金融機関共通の異動事由となるため休眠預金になることはありません。
- 記帳、繰越、証書の発行
- 残高照会
- 契約内容、顧客情報の変更
- 借入金返済に口座を利用する申し出
- 預金等に係る情報の受領
- 総合口座などに含まれるほかの預金等の異動
これらは行政庁の認可を受けた場合に限り異動事由となります。つまり「異動」に該当するため休眠預金等には該当しないということですね。
三井住友銀行、ゆうちょ銀行、りそな銀行は記帳をすれば休眠預金にはなりませんが条件が定められています。
三井住友銀行の場合、記帳、繰越も認可を受けた「異動」に該当しますが、記帳する取引がなかった場合を除き、一部記帳においては2017年12月25日以降に限るという条件が定められています。
口座がある金融機関が認可を受けた異動事由を知りたい、異動事由の詳しい内容や条件を知りたいという時はお取引がある金融機関に問い合わせをする必要があります。金融機関のウェブサイトでも確認できることがほとんどです。
銀行の合併等で銀行名が変わっている場合はどこに問い合わせたらいいのかと気になる方も多いのではないでしょうか。
例えば、旧さくら銀行は合併を繰り返して現在は三井住友銀行になっています。
旧さくら銀行の店名・店番号で照会することが出来ますので問い合わせは三井住友銀行でOKです。
全国銀行協会で合併後の銀行をチェックすることができます。問い合わせ先銀行がわかったら窓口で対応してもらいましょう。
- 通帳
- キャッシュカード
- 印鑑
- 写真付き本人確認書類(マイカード、運転免許証、パスポート等、公的機関が発行した顔写真付の身分証明ができるもの)
※顔写真付き本人確認書類が用意できない場合は、保険証、年金手帳、住民基本台帳カード、住民票等、公的機関が発行した写真なし身分証明書を2種類する
問い合わせの際はどの金融機関でも上記の持ち物が必要になるケースがほとんどです。
通帳やキャッシュカードを紛失してしまった場合でも本人確認ができれば対応してもらえることが多いのでまずは問い合わせをしてみてくださいね。
自分の銀行口座が休眠預金になった時は?
2009年1月1日以降、10年以上取引のない口座をお持ちの方は休眠預金に該当する可能性があります。
休眠預金になると管理が金融機関から預金保険機構に移管されますが預貯金は引き出すことができます。引き出せる期限は設定されていません。
ただし、これまでのようにATMに通帳やキャッシュカードを挿入しても引き出しが出来ない点はご注意ください!エラーになったり係員をお呼びくださいというメッセージが表示される可能性があります。
休眠預金になった場合は、先ほど紹介した休眠預金等の問い合わせに必要な持ち物(通帳、キャッシュカード、印鑑、写真付き本人確認書類)を用意して窓口で手続きを行う必要があります。
引き続き口座を継続するのか解約するのかを選べることがほとんどですが、場合によっては解約のみの手続きになることもあるようです。
もしかすると「休眠預金になっても時間がある時に継続か解約の手続きをすればいいのね」と思ってしまう方がいるかもしれませんね。
りそな銀行は未利用口座管理手数料を独自に設定していて2年以上取引がない口座は年間1,200円の口座管理手数料が発生してしまいます。また、どの金融機関でも預貯金者本人が亡くなった場合、残された家族は大変な手間と労力で口座を相続・解約する必要があります。
今回お話している休眠預金等活用法とは直接関係はありませんが、取引のない口座を放置していると口座管理手数料が発生したり家族に負担をかけたりする心配があることを一度考えてみてはいかがでしょうか。
休眠預金等活用法をきっかけに、放置している口座を見直すのもおすすめですよ。
休眠預金等活用法のまとめ
2009年1月1日以降、10年以上取引のない口座が対象になっているため、2019年1月1日から休眠預金等に該当する口座が一気に増える見込みです。
- 10年以上取引がない口座
- 住所変更の届出をしていない口座
このような口座に心当たりがあれば2019年1月1日までに入出金を行うか、各金融機関が認可を受けている異動事由(記帳、繰越、残高照会、顧客情報の変更等)を行えば休眠預金の対象にはなりません。
もし自分の口座が休眠預金になっても預けているお金が没収される訳ではなく、手続きを踏めば引き出すことができることも覚えておいてくださいね。
2019年1月1日まで残りわずか。年末の銀行は1年間のお金の動きを記帳しておきたいという方やお年玉用に新札を用意したいという方で混雑します。
銀行の合併などでデータ照会に時間がかかる可能性もありますので、休眠預金に心当たりがある方は早めの問い合わせがおすすめです。
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